プロタゴラス (前485頃-前415頃)はギリシア北部のアブデラの出身で、アテネで弁論術を教える教師(ソフィスト)として活動しました。ソフィストは悪いニュアンスを含む言葉であり、ソクラテスは次々にソフィストを論破していきますが、プロタゴラスに対しては一目を置いていたようです。
プロタゴラスは「万物の尺度は人間である」という考え方で有名です。これは、何か判断を要するものは相反する二つの要素を備えており、人間の知覚が一人一人異なるから、判断も人により異なるというものであると思われます。このプロタゴラスの論によれば絶対的な真実といったものは存在せず、それゆえ弁論により自己の主張を相手に認めさせることが重要であると考えられました。
参考文献
プラトン『プロタゴラス-ソフィストたち』, 藤沢令夫訳, 岩波文庫, 1988
初期ギリシア哲学者断片集, 山本光雄訳編, 岩波書店, 1958