アベラール

アベラール(1079-1142)はフランス出身の神学者です。

青年期にはさまざまな教師から学びましたが、アベラールは卓越した学識をもっていたため、自身の教師をも論破し名声を得ます。

アベラールが名声を博した理由は、当時一般的に受け入れられていた実在論に対して反論し、唯名論を提唱したことです。唯名論とは「普遍」は言葉にすぎないというものであり、その根拠を理論的(言語学的)に述べました。

コンシェルジュリー(パリ・シテ島)
カペー朝の王宮(現コンシェルジュリー。パリ・シテ島)

やがて彼はパリのノートルダム大聖堂の学校で教師になります。この時にエロイーズという女性の存在を知り、彼女に魅力を感じたアベラールは彼女の家庭教師になるよう取り計らい、二人は恋仲となります。

アベラールは神学者としての立場上恋愛を隠す必要がありました。

しかしアベラールは惚れ気を隠すことができず、授業においても恋愛詩を口ずさむようになったため、二人の関係は町に知れ渡ります。

そしてエロイーズの親族が知ることとなり、アベラールは責任をとってエロイーズと結婚します。しかし様々な不運が重なりアベラールはエロイーズの親族たちにより去勢されてしまい、アベラールはパリを離れることになりました。その後はエロイーズと再会することはなかったそうです。


参考文献

『愛の往復書簡 -アベラールとエロイーズ-』佐藤輝夫 訳, 角川文庫, 1966

『中世思想原典集成 7 前期スコラ学』, 古田暁 監修, 平凡社, 1996


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最終更新日: 2023年1月1日