エウリピデス

エウリピデス (前485頃-前406頃)はアテネで活躍した悲劇作家です。代表的な悲劇作家3人の中でもっとも若く、現存する作品はアイスキュロス・ソフォクレスを遥かに凌いでいます。

エウリピデスの性格は気難しく非社交的であり、世俗を離れサラミス島で海を眺めながら生活していたと言われています。

彼の作品の特徴は、従来の悲劇は神々や偉大な人間を描いたものであったのに対し、登場人物が普通の人間であることです。彼の著名作『メデイア』では、王女メデイアが自分を捨てた夫に復讐する様子が描かれますが、その復讐の方法は非合理的です。そうであっても、感情の昂りが抑えられず行動した王女の心情が余すところなく描写されており、エウリピデスの劇作家としての実力を感じることができます。

アテネ遠望
現代のアテネ遠望。中央に見える島がサラミス島。

参考文献

『ギリシア悲劇全集 第3巻』, 呉茂一 等編, 人文書院, 1960


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プロタゴラス

プロタゴラス (前485頃-前415頃)はギリシア北部のアブデラの出身で、アテネで弁論術を教える教師(ソフィスト)として活動しました。ソフィストは悪いニュアンスを含む言葉であり、ソクラテスは次々にソフィストを論破していきますが、プロタゴラスに対しては一目を置いていたようです。

プロタゴラスは「万物の尺度は人間である」という考え方で有名です。これは、何か判断を要するものは相反する二つの要素を備えており、人間の知覚が一人一人異なるから、判断も人により異なるというものであると思われます。このプロタゴラスの論によれば絶対的な真実といったものは存在せず、それゆえ弁論により自己の主張を相手に認めさせることが重要であると考えられました。


参考文献

プラトン『プロタゴラス-ソフィストたち』, 藤沢令夫訳, 岩波文庫, 1988

初期ギリシア哲学者断片集, 山本光雄訳編, 岩波書店, 1958


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