ヘシオドス

ヘシオドスは前7世紀頃の人物です。彼はエウボイア島のカルキスの町で開かれた競演会で優勝したと伝えられるなどの活躍をしました。ヘシオドスの代表作は『神統記』、『労働と日々』です。

『神統記』はギリシア神話に登場する神々の由来をまとめた作品です。

『労働と日々』は、怠惰な弟に対して仕事の必要性を語りかけるという内容で、農業や航海、結婚等についてもどうすればいいかを具体的に指南しています。ヘシオドスと弟の間には兄弟間で遺産争いがあり、ヘシオドスは弟による不正な手段で負けたそうです。そのため、弟に更生してほしいという気持ちがこの作品にこめられているのでしょう。

エーゲ海の光景
現代のエーゲ海・イア島近海。ヘシオドスは海の厳しさについても説いた。

参考文献

ヘーシオドス『仕事と日』松平千秋訳, 岩波文庫, 1986

ヘシオドス『神統記』広川洋一訳, 岩波文庫, 1984


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ホメロス

ホメロスは前8世紀頃のイオニア地方(現在のトルコ・アナトリア南西部沿岸)出身の人物であると言われています。

この人物は前8世紀の時代に長編物語を書き上げ、ギリシア・ローマ文化に多大な影響を与えた点で重大な人物です。例えば、前6、5世紀頃からギリシア世界では悲劇の上演が盛んになるのですが、そのストーリーはホメロスの作品の内容を知っていることを前提とされているものが多いです。他にも、ローマを代表する作家であるウェルギリウスは、ホメロスの構成・アイディアをかなり参考にして創作しています。以下、ホメロスの作品はどのような内容であるかについて、簡単に触れたいと思います。

まずは『イリアス』について紹介します。この作品はトロイア戦争という、トロイア(イオニア地方から北に進んだ沿岸部に位置する都市)とギリシアとの戦いを舞台としています。トロイア側、ギリシア側の各将軍の戦場での言動が描かれ、緊迫感ある戦闘描写もあります。

この戦いは人間の争いであるとともに、神々の争いでもありました。様々な性格を有する神々がどちらかの陣営に味方し、人智を越える力をもって戦況を変化させます。神々に振り回されながらも果敢に戦う人間が印象的です。

クロード・ロワン
Claude Lorrain, “Ulysse remet Chryséis à son père”, 1644
人質を返しにきた船がトロイアの町に到着する様子の想像図

次に『オデュッセイア』です。この作品はトロイア戦争に参加したギリシア側の武将の一人であるオデュッセウスが、故郷の島に帰るまでの旅路を描いた作品です。各地の島々に立ち寄りながら出会いと別れを経験し、時には戦いを繰り広げます。一方故郷の島ではオデュッセウスは戦争で死んだものとして扱われていたため、オデュッセウスの妻のもとには求婚者が集まっていました。オデュッセウスは故郷に近づくにつれその事実を知り、策略を練って求婚者の集団を退治しました。


参考文献

ホメロス 『イリアス 上』松平千秋訳, 岩波文庫, 1992

ホメロス 『イリアス 下』松平千秋訳, 岩波文庫, 1992

ホメロス 『オデュッセイア 上』松平千秋訳, 岩波文庫, 1994

ホメロス 『オデュッセイア 下』松平千秋訳, 岩波文庫, 1994


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