サッフォー

サッフォー (前612-?)はアナトリア半島にほど近い、温暖で緑豊かなレスボス島出身の詩人です。

近接するリディアの影響を受け、この島では華やかな文化が形成されました。

現代のレスボス島の景色
現代のレスボス島の景色

サッフォーは黒髪の巻き髪で小柄な女性であったと伝えられています。

サッフォーはレスボス島で何らかの少女の集いを結成し、少女たちと深く関わりながら詩を作成していたそうです。

サッフォーの作品の多くは消失し、残った作品でも詩の一部が欠落しているものが多いのですが、それでもサッフォーの恋愛に対する豊かな表現を感じ取ることができます。サッフォーが恋に落ちた時の衝撃を表した詩や、少女との別れ際に思い出を語る詩などが残っています。

また、この世界でもっとも美しいものは人を愛することであると、美女であるヘレネーでさえも恋愛により家族を捨てトロイアへ渡った(この行為がトロイア戦争の原因となる)ことを根拠に詠いました。

サッフォーは後世の人々により詩の女神として語り継がれ、失恋のショックにより崖から身を投げその生涯を終えたという伝説も生まれました。明治時代の文豪、夏目漱石も作品の中でこの伝説の話題を持ち出しています。

よし子は足を芝生のはしまで出して、振り向きながら、
「絶壁ね」と大げさな言葉を使った。「サッフォーでも飛び込みそうな所じゃありませんか」 美禰子と三四郎は声を出して笑った。そのくせ三四郎はサッフォーがどんな所から飛び込んだかよくわからなかった

夏目漱石『三四郎』より
レフカダ島・サッフォーが身を投げたと言われる崖
レフカダ島・サッフォーが身を投げたと言われる崖

参考文献

『サッフォー 詩と生涯』,沓掛良彦, 平凡社, 1988

ストラボン『ギリシア・ローマ世界地誌』,飯尾都人 訳, 竜渓書舎,1994


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タレス

タレス (前624-前546)はミレトス出身の哲学者です。有史以来初の哲学者として有名で、後にヘロドトスやアリストテレスによってタレスの名が言及されます。

哲学者というと私たちの感覚では生死や神の存在についてなど、解決できない問題について考える人である印象がありますが、タレスは自然の研究、特に天文学についても豊富な知識を持っていました。例えばタレスは日蝕の日を予言することができましたし、気象状況からその年のオリーブが豊作になることを見越すこともできました。

タレスは自然を観察した結論として、万物の始原は水であるとしたのだと思われます。アリストテレスは、万物の栄養が湿っていることや熱が湿ったものから生ずることからタレスがこのように考えたのだと考察しています。


参考資料

ディオゲネス『ギリシア哲学者列伝 上』加来彰俊 訳, 岩波文庫, 1984

初期ギリシア哲学者断片集, 山本光雄訳編, 岩波書店, 1958


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