ポリビオス

ポリビオス (前201-前120頃) はギリシアのメガロポリス出身の人物です。

ポリビオスの生まれた時代はローマとカルタゴの争いの最中で、紀元前264年にカルタゴとの間で第1回ポエニ戦争が始まり、戦いは紀元前146年の第3回ポエニ戦争でカルタゴが滅亡するまで断続的に続きました。当時のギリシアではアンティゴノス朝マケドニアの影響を受けながらも各都市国家が存続していましたが、カルタゴと同時期(紀元前146年)にマケドニア・ギリシアともローマの属州となります。

ポリビオスははじめギリシア(アカイア同盟)の独立を保とうとする立場にたっていましたが、ローマへと連行されます。ローマでポリビオスはスキピオ・サークルという知識人たちのコミュニティに入り交流を深めました。その中にはローマの権力者も含まれており、ポリビオスはカルタゴが滅亡する様子を戦場で目の当たりにしたり、ローマ占領下でのギリシアの統治に従事したりするなど、ローマの歴史に密接に関わることになりました。

The Sack of Corinth, by Thomas Allom (1804-1872)
The Sack of Corinth, by Thomas Allom (1804-1872)
アカイア同盟の中心都市であるコリントスがローマ軍によって破壊される様子の想像図。

ポリビオスの作品のうち代表的なものは『歴史』です。『歴史』では、なぜローマが世界の覇権を握ったのかを、ポエニ戦争を中心に戦争の原因や経過・戦術、後に残った影響を説明することで解明しようとしています。同時にローマによる統治を評価するための判断材料を後世に残すという意図もあります。

また、『歴史』では政体循環史観が示されます。この考えをおおまかに要約すると、国制は、初めは上手く機能していても次第に人々の意識が変わるため長くは続かず、王制→貴族制→民主制と推移したのち王制に戻るのが自然であるというものだと思われます。


-参考文献

『歴史1』, 西洋古典叢書, ポリュビオス著 城江良和訳, 京都大学学術出版会 2004

『歴史2』, 西洋古典叢書, ポリュビオス著 城江良和訳, 京都大学学術出版会 2007


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カテゴリー: ローマ

ローマ文化まとめ

ギリシアが栄えていた時代(紀元前5世紀前後)と同時期のローマは、共和政を確立したものの貴族と平民は厳格に区別されていました。身分闘争の末、徐々に平民も力を持つようになり、ローマは同盟や属州という統治方法を駆使し急速に地中海地域の支配権を広げます。そして紀元前2世紀、ギリシアを属州としたことで、ギリシアの文化がローマに入ってきました。しかしこの時代は各地の富がすべてローマ市民に集まる仕組みとなっていたため、ローマに対する反乱や国内での権力闘争が絶えず、文化活動はあまり盛んではありませんでした。

ローマの文化が発展を遂げたのは、前27年のオクタウィアヌス(アウグストゥス)による帝政開始以降です。

アウグストゥス帝による統治から181年のマルクス=アウレリウス=アントニウス帝までの200年間は、一時期皇帝による圧政が続いたものの比較的安定しており、パックス・ロマーナ(ローマの平和)と呼ばれます。この時期ではストア哲学が広く受け入れられたほか、詩人の創作や学問が盛んになります。キリスト教もこの時代に成立しました。

3世紀からのローマは衰退に向かい、395年以降ローマ帝国は東西に分かれます。そして476年にはゲルマン人のオドアケルにより西ローマ帝国の帝位が廃止されました。東ローマ帝国はローマ帝国を継承しつつもギリシア化・キリスト教化し、独自の文化を形成していくことになります。


・共和政ローマ

ポリビオス (前201-前120頃) ギリシア人歴史家。ローマの受け入れ

カエサル (前100-前44) ガリア遠征で武勲をたてる。内戦に勝利するも暗殺される

キケロ (前106-前43) 共和政を支持した弁護士・政治家・作家

ルクレティウス (前99-前55頃) 哲学者。エピクロス派に立った世界観を詠う


・ローマ帝国

ウェルギリウス (前70-前19) ラテン文学の代表的詩人

ホラティウス (前65-前8) アウグストゥス帝の庇護を受けた詩人

ストラボン (前64頃-後21頃) ローマ帝国内領土を旅し地理を書き記す

リウィウス (前59-後17) ローマの歴史をまとめ上げる

オウィディウス (前43-後17頃) ローマでの生活を愛した詩人

セネカ (前4頃-後65) ストア派哲学者。ネロ帝の家庭教師

プリニウス (23-79) ローマの公職者兼自然の研究者

プルタルコス (46頃-120頃) ギリシア人。ギリシアとローマの偉人をまとめ比較する

タキトゥス (55頃-120頃) ローマの公職者。ゲルマニアについて記す

エピクテトス (55頃-135頃) 元奴隷のストア派哲学者

マルクス=アウレリウス=アントニヌス (121-180) 五賢帝最後の皇帝。ストア派哲学者

プトレマイオス (2世紀頃) 天動説に基づく天文学の体系書を執筆

エウセビオス (263頃-339) キリスト教迫害から公認までの時代を生きた司教

アウグスティヌス (354-430) 迷いの末キリスト教に回心した司教

トリボニアヌス (?-543) 東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の法学者。ローマ法を体系化


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