ホラティウス

ホラティウス (前65-前8)は南イタリアのウェヌシア(現代のヴェノーザ)出身です。ホラティウスはローマで詩作に励み、同じく詩人であるウェルギリウスと親交を結びました。彼は文化活動を奨励するアウグストゥス帝に認められ、アウグストゥス帝の主催する「世紀の大祭」(紀元前17年)のために詩を作るよう依頼されるほど重宝されていたようです。ホラティウスはアウグストゥス帝の依頼に応じ、幾多の神々へ呼びかけ、ローマの栄光や平安を願う詩を作成しました。

バジリカータ州の山々
ウェヌシア(現在のヴェノーザ)の所在地であるイタリア・バジリカータ州の光景。山岳地帯が多いことで有名。

ホラティウスは詩の中で恋や友人・パトロン、そして人生について詠っています。例えば、アテネへの旅に出るウェルギリウスを自身の魂の半分と称し、旅の無事を祈る詩を作ったり、自身の所有する農地の樹木が倒れ死にかけた際の感想を詩にしたりしました。


-参考文献

ホラティウス『歌章』, 藤井昇訳, 現代思潮社, 1973


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ウェルギリウス 

ウェルギリウス(前70-前19)は北イタリア出身の詩人です。彼は体が弱く内気な性格であったそうです。

青年時代には修辞学や哲学などを学んでいましたが、詩の才能があったウェルギリウスはローマの政治家たちの庇護を受け、詩人として生計を立てることができました。

ミンチョ川
ウェルギリウスの出身地(現マントヴァ近郊)の近くを流れるミンチョ川

ウェルギリウスの作品で最も有名なのが『アエネーイス』です。この詩はホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』の構成を元に作られています。その内容は、前半がポエニ戦争で敗北したトロイアの武将アエネアスが新天地を求めカルタゴやシチリアなどの地中海沿岸を旅する話で、後半がたどり着いたイタリアで敵対する現地の人々と戦うという話です。そしてアエネアスが定着した場所こそがローマであるようです。

ウェルギリウスは作品の執筆に多大な時間をかけており、『アエネーイス』執筆開始のおよそ10年後、作品を完成させることなく旅先で病気により死亡しました。彼は遺言で、未完成の『アエネーイス』を焼却することを望みましたが、ローマ皇帝アウグストゥスは彼の意に沿わずに『アエネーイス』を出版しました。


参考文献

ウェルギリウス『アエネーイス』, 岡道男 高橋宏幸訳, 京都大学学術出版会, 2001


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