リウィウス

リウィウス (前59-後17)は北イタリアのパタウィウム(現パドヴァ)出身の作家です。

彼が活動していた時代のローマはアウグストゥス帝の元で平和を享受しており、リウィウスもアウグストゥス帝の庇護を受け文芸活動に勤しむことができました。

リウィウスが人生をかけて執筆した作品が『ローマ建国史』です。この作品は紀元前8世紀になされたと言われているローマ建設の伝説から、アウグストゥスが元首になって少し経った紀元前10年頃までの歴史をまとめた全142巻の大長編です。残念ながら現在は前半の一部分しか残っていません。

パドヴァ
現代のパタウィウム(パドヴァ)

参考文献

『ギリシア=ラテン講座 第2部 第3巻』プラトンアリストテレス学会 編, 鉄塔書院, 1932

リウィウス『ローマ建国以来の歴史1 伝承から歴史へ(1) 西洋古典叢書』岩谷智 訳, 京都大学学術出版会,2008年


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ストラボン

ストラボン(前64頃-後21頃)はアマセイア(現在のトルコ北部アマスィヤ)出身です。彼はアウグストゥス帝の時代に生きた人物であり、『地理誌』の著者です。

ストラボンは政治や戦略立案、哲学には地理の知識が必要であると考え、ホメロスやエラトステネスの先行研究も踏まえながらローマ帝国の領域を解説します。ストラボンは世界市民主義を掲げるストア派の人物であったことから、ローマ帝国内の諸民族を適切に統治するために世界の地理を記述することが重要であると感じていたのでしょう。

本書の中身を具体的に見ると、イベリア(現スペイン・ポルトガル)、ガリア(現フランス・ベルギー等)、イタリアなど、帝国領土を地域ごとに分け、それぞれの町や民族、名産品、当地出身の著名人の紹介などを行っています。ストラボン自身がアジアの出身なので、ローマ帝国東部の解説も詳しいです。例えばストラボンの出身地であるアマセイアについては、

「わたしどもの故郷の市は深くて大きな峡谷のなかにあってそこをイリス川が貫流し、人間の見通しの良さと自然の地形が相まって市を構築していることは驚くばかりで、……」

『ギリシア・ローマ世界地誌2』, ストラボン著 飯尾都人訳, 150頁より引用

と記述し、続けて町の歴史について説明しています。

アマスィヤ
現代のアマセイア(トルコ・アマスィヤ)。ストラボンの記述通りの地形が広がる。


-参考文献

ストラボン『ギリシア・ローマ世界地誌1』, 飯尾都人訳, 竜渓書舎, 1994.7

ストラボン『ギリシア・ローマ世界地誌2』, 飯尾都人訳, 竜渓書舎, 1994.7


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