ウェルギリウス 

ウェルギリウス(前70-前19)は北イタリア出身の詩人です。彼は体が弱く内気な性格であったそうです。

青年時代には修辞学や哲学などを学んでいましたが、詩の才能があったウェルギリウスはローマの政治家たちの庇護を受け、詩人として生計を立てることができました。

ミンチョ川
ウェルギリウスの出身地(現マントヴァ近郊)の近くを流れるミンチョ川

ウェルギリウスの作品で最も有名なのが『アエネーイス』です。この詩はホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』の構成を元に作られています。その内容は、前半がポエニ戦争で敗北したトロイアの武将アエネアスが新天地を求めカルタゴやシチリアなどの地中海沿岸を旅する話で、後半がたどり着いたイタリアで敵対する現地の人々と戦うという話です。そしてアエネアスが定着した場所こそがローマであるようです。

ウェルギリウスは作品の執筆に多大な時間をかけており、『アエネーイス』執筆開始のおよそ10年後、作品を完成させることなく旅先で病気により死亡しました。彼は遺言で、未完成の『アエネーイス』を焼却することを望みましたが、ローマ皇帝アウグストゥスは彼の意に沿わずに『アエネーイス』を出版しました。


参考文献

ウェルギリウス『アエネーイス』, 岡道男 高橋宏幸訳, 京都大学学術出版会, 2001


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ルクレティウス

ルクレティウス (前99-前55頃) は前1世紀の時代のローマ市民です。当時のローマはマリウス(平民派)とスラ(閥族派)の抗争、同盟市戦争やスパルタクスの反乱、カエサルの暗殺など内乱に見舞われていました。

世情が不安定で拠り所を探したためでしょうか、ルクレティウスはエピクロス派の考えに傾倒し、『事物の本性について』を執筆しました。この著作の中で、ルクレティウスはエピクロスを賞賛した後に、世界は原子で構成されていること(唯物論)を詩的に表現します。さらにはその世界観に沿いながら、生命や恋愛、気象や地質の原理についても説明しました。


-参考文献

『世界古典文学全集 21 ウェルギリウス ルクレティウス』, 筑摩書房,泉井久之助/岩田義一/藤沢令夫 訳, 1965


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