ストラボン

ストラボン(前64頃-後21頃)はアマセイア(現在のトルコ北部アマスィヤ)出身です。彼はアウグストゥス帝の時代に生きた人物であり、『地理誌』の著者です。

ストラボンは政治や戦略立案、哲学には地理の知識が必要であると考え、ホメロスやエラトステネスの先行研究も踏まえながらローマ帝国の領域を解説します。ストラボンは世界市民主義を掲げるストア派の人物であったことから、ローマ帝国内の諸民族を適切に統治するために世界の地理を記述することが重要であると感じていたのでしょう。

本書の中身を具体的に見ると、イベリア(現スペイン・ポルトガル)、ガリア(現フランス・ベルギー等)、イタリアなど、帝国領土を地域ごとに分け、それぞれの町や民族、名産品、当地出身の著名人の紹介などを行っています。ストラボン自身がアジアの出身なので、ローマ帝国東部の解説も詳しいです。例えばストラボンの出身地であるアマセイアについては、

「わたしどもの故郷の市は深くて大きな峡谷のなかにあってそこをイリス川が貫流し、人間の見通しの良さと自然の地形が相まって市を構築していることは驚くばかりで、……」

『ギリシア・ローマ世界地誌2』, ストラボン著 飯尾都人訳, 150頁より引用

と記述し、続けて町の歴史について説明しています。

アマスィヤ
現代のアマセイア(トルコ・アマスィヤ)。ストラボンの記述通りの地形が広がる。


-参考文献

ストラボン『ギリシア・ローマ世界地誌1』, 飯尾都人訳, 竜渓書舎, 1994.7

ストラボン『ギリシア・ローマ世界地誌2』, 飯尾都人訳, 竜渓書舎, 1994.7


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ホラティウス

ホラティウス (前65-前8)は南イタリアのウェヌシア(現代のヴェノーザ)出身です。ホラティウスはローマで詩作に励み、同じく詩人であるウェルギリウスと親交を結びました。彼は文化活動を奨励するアウグストゥス帝に認められ、アウグストゥス帝の主催する「世紀の大祭」(紀元前17年)のために詩を作るよう依頼されるほど重宝されていたようです。ホラティウスはアウグストゥス帝の依頼に応じ、幾多の神々へ呼びかけ、ローマの栄光や平安を願う詩を作成しました。

バジリカータ州の山々
ウェヌシア(現在のヴェノーザ)の所在地であるイタリア・バジリカータ州の光景。山岳地帯が多いことで有名。

ホラティウスは詩の中で恋や友人・パトロン、そして人生について詠っています。例えば、アテネへの旅に出るウェルギリウスを自身の魂の半分と称し、旅の無事を祈る詩を作ったり、自身の所有する農地の樹木が倒れ死にかけた際の感想を詩にしたりしました。


-参考文献

ホラティウス『歌章』, 藤井昇訳, 現代思潮社, 1973


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