タキトゥス

タキトゥス (55頃-120頃)はローマで公職に就いた人物です。

当時のローマは皇帝による圧政がしばしば起こっていました。

タキトゥスの親族も皇帝から冷遇を受けたそうで、タキトゥスの文章からはうっすらとローマ帝国への皮肉を感じることができます。

タキトゥスの『ゲルマニア』は、ゲルマニアについて初めてのまとまった記述であり、ゲルマン人の身体的特徴、社会・生活方式についてや、各部族の分布・特徴などが記述されています。

当時のゲルマニアは都市がなく、人々は泉や野原、林に居を構えており、政治は部族の長老たちの民会によってなされていました。また、各部族の事情もそれぞれ異なり、ローマ帝国の領土に組み込まれているところもあれば、ローマとしばしば争っているところもありました。


himmerland
ローマを苦しめたゲルマン人・キンブリ族の故郷の光景(現デンマーク・ユトラント半島北部Himmerland)

参考文献

タキトゥス『ゲルマーニア』, 田中秀央 泉井久之助 訳, 刀江書院, 1941


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プルタルコス

プルタルコス (46頃-120頃) はギリシアのカイロネイア出身の人物です。

彼はアテネやアレクサンドリア、ローマで学びました。人生のほとんどを故郷のカイロネイアで過ごし、競技大会の主催者やデルフォイの神官を務めるなど、ギリシアの伝統を担いました。

デルフォイ
現代のデルフォイの神域跡。この地でなされた神託はギリシアで大きな影響力をもった。

プルタルコスの作品のうち有名なのは『対比列伝』です。これは歴史上のローマ・ギリシアで性格や業績が似ている者をピックアップし、人物の伝記を記述するとともに一部のペアについては比較を行うというものです。

彼の執筆の理由は、歴史的偉業から生き方の指針を得ようとするためでした。

プルタルコスの文章では、ギリシア文化が栄華を極めていた時代の作家がしていたのと同様に、ホメロスの引用がしばしばなされています。


参考文献

『プルタルコス英雄伝 上』, 村川堅太郎 編, 筑摩書房, 1996

『プルタルコス英雄伝 中』, 村川堅太郎 編, 筑摩書房, 1996

『プルタルコス英雄伝 下』, 村川堅太郎 編, 筑摩書房, 1996


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