ウィリアム=オブ=オッカム(1290頃-1349頃)はイングランド出身の神学者です。
彼はオクスフォード大学で研究していましたが、唯名論を打ち立てることで異端視されます。
オッカムによる唯名論は、普遍とは多くのものを表示することのできる心の中の観念であり、心の外に実在するものではないという考えです。
彼はその理由として、実体とは一つのものか多数のもののどちらかでしかないとした上で、どちらの見解を採用するとしても、実体が個であることに帰結すると論証します。また、普遍が実在するとしたら、それは個別的な実体を取り除いても存在できるはずが現実はそうなっていないとして、普遍が実在するという考えは不合理であるとしました。
やがてオッカムは教皇庁に呼び出され、異端として破門されます。
オッカムは教皇と対立していた神聖ローマ帝国皇帝の勢力下であるミュンヘンに逃げこみます。彼は教皇に言論で対抗するため政治に関する多数の書物を執筆しましたが、黒死病(ペスト)に罹り死亡しました。
参考文献
渋谷克美, 『オッカム『大論理学』註解』, 創文社, 1999
『講座西洋哲学史. 上巻 (古代・中世)』, 小松摂郎 編, 理想社, 1959
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