ルクレティウス

ルクレティウス (前99-前55頃) は前1世紀の時代のローマ市民です。当時のローマはマリウス(平民派)とスラ(閥族派)の抗争、同盟市戦争やスパルタクスの反乱、カエサルの暗殺など内乱に見舞われていました。

世情が不安定で拠り所を探したためでしょうか、ルクレティウスはエピクロス派の考えに傾倒し、『事物の本性について』を執筆しました。この著作の中で、ルクレティウスはエピクロスを賞賛した後に、世界は原子で構成されていること(唯物論)を詩的に表現します。さらにはその世界観に沿いながら、生命や恋愛、気象や地質の原理についても説明しました。


-参考文献

『世界古典文学全集 21 ウェルギリウス ルクレティウス』, 筑摩書房,泉井久之助/岩田義一/藤沢令夫 訳, 1965


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キケロ

キケロ (前106-前43)はローマの南東に位置する町アルピヌムの出身の人物です。キケロの家系にローマで高位の公職に就いた人物はいませんでしたが、学問や弁論術に秀でたキケロは弁護士としての活動を評価され、前63年に政治家のトップである執政官にまで上り詰めました。

アルピーノ
現代のアルピヌム(現アルピーノ)

キケロは執政官の任期中、反乱を企てた人物を壮大な弁論で追い詰めるなど、ローマや市民を守るために励みました。

キケロは弁護士や政治家としての活動のほか、執筆にも取り組みます。『国家』はスキピオ・サークル(教養ある哲学者や詩人、政治家などの集まり)のメンバーが理想の国家について話し合うという物語調の作品です。作中では理想の国家とはローマの共和政であると結論付けられています。

キケロは共和政を理想としていたため、独裁を目指したカエサルが暗殺された後に、カエサルの後を継ごうとしたアントニウスを批判します。キケロはアントニウスに対抗するためオクタウィアヌス(後のアウグストゥス)を支持しますが、結局オクタウィアヌスはアントニウスと結びつき、前43年にキケロは暗殺されてしまいました。


参考文献

『キケロー弁論集』, 小川正廣 谷栄一郎 山沢孝至 訳, 岩波文庫, 2005

『キケロー選集 8』, 岡道夫 編, 岩波書店, 1999

『世界の名著 13』, 鹿野治助 編 , 中央公論社, 1967 


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